2014-10-14

貴族の末裔、楊端和(ようたんわ)

 中国で、楊氏というと私は隋を建国した楊氏を思い浮かべます。隋は漢末から分裂がつづいた中国を統一したということで、秦帝国と似た所があります。隋が短命に終わって、その後の唐が長く続いた点も秦、漢の関係と似ています。

 さて、隋が頭の隅にあったので、なんとなく楊端和は貴族のイメージかと思いました。ただ、浮いた存在にならないように誰かと関連付けようとして、剣の達人である毛公の弟子ということにしました。これが結構つぼにはまって、ストーリー展開したので、李信の義兄弟の内では一番良く登場します。

(楊端和の数え歳で記載。7を引くと李信の歳)
【出生】趙の都、邯鄲で没落貴族の子として生まれる。
【少年時代】ややぐれて邯鄲の繁華街で遊び歩く。ある時、剣の達人である毛公に絡んだが逆にたしなめられ、以後毛公に師事して剣術を修める。
【20歳】博徒の魯句践(ろこうせん)に絡まれている李信に出会う。
【21歳】李信とともに嬴政(えいせい、後の始皇帝)の護り役として秦の都、咸陽へ行く。
【22歳】楚姫の放った刺客を李信、李善とともに撃退して嬴政を護る。
【26歳】義兄弟と共に従軍し、韓を攻める。
【27歳】三月咸陽(かんよう)に帰還し、嫁を取る。
【28歳】長男樛(きゅう)が生まれる。
【29歳】函谷関(かんこくかん)で五カ国連合軍と戦う。
【30歳】次男熊(ゆう)が生まれる。
【32歳】将軍になる。
【34歳】王翦(おうせん)の元で、義兄弟の桓齮(かんき)と共に趙を攻める。
【37歳】桓齮と共に趙の北部を攻めるも李牧(りぼく)に敗れる。
【38歳】死んだ桓齮の仇をうつために李信、羌瘣(きょうかい)と共に趙を攻めるも敗れる。
【41歳】李信、羌瘣(きょうかい)と共に趙を攻めて仇をうつ。
【42歳】毛公らを諭して邯鄲を落とす。
【43歳】長男樛が始皇帝の近侍となる。
【51歳】長男樛、次男熊が始皇帝の娘を娶る。
【54歳】長男樛、次男熊、李良、李必がおしのび中の始皇帝を暗殺から護る。
【60歳】長男樛が二世皇帝に殉死させられる。
【61歳】叛乱した楚の武臣に邯鄲を明け渡す。
【62歳】次男熊が謀叛を疑われて処刑される。
【67歳】崩壊した邯鄲を再建しようとしたが・・・

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-10-20

楊樛(ようきゅう)と七刻石

 始皇帝は沿岸部の山々に七つの石碑を建てています。始皇七刻石と呼ばれているこれらの石碑には、秦の徳の高さが刻まれました。

 その内の瑯琊(ろうや)山に建てた石碑には、同行した11人の名も一緒に刻まれました。筆頭は列侯の王離で、次に王賁と続き、最後は五大夫の楊樛となっていたようです。列侯というのは最高位の爵位二十級、五大夫は爵位九級で官爵としては一番下の級です(一般庶民は八級までしか得られない)。

 儒教的に言うと王賁より息子の王離が先にくるのは違和感がありますが、それはさておき、五大夫のような下っ端の名前が石碑に刻まれるというのは、よほど始皇帝の信任を得ていたからだと考えられます。つまり楊樛は皇帝のお気に入りだったと思われるのですが、楊樛に関する記述はほかに無く、どんな人物だったかは想像するしかありません。

 想像するしか無い・・・というところで例によって妄想が爆発し、
 ①出自は、王離のように重臣の息子という可能性がある。楊端和の息子だと言っても否定材料は無い。
 ②楊端和の息子なら剣技は優れていてもおかしくは無い。荊軻の暗殺から逃れた始皇帝が腕の立つ楊樛を護衛として仕えさせたとしても不思議は無い。
 ③始皇帝がお忍びで四人の武士と町に出かけたが、その内の一人は腕の立つ楊樛である方が自然だ。
 ④始皇帝の死を隠した趙高、李斯にとっては目障りな存在となろう。殉死に追いやって始末したとしても不思議は無い。

 という感じで、重臣の息子で剣技に優れた楊樛が始皇帝に信任され、それが最後に災いして殉死に追うやられるというストーリーが出来上がりました。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-10-26

楊喜(ようき)の後しざり

 楊喜(ようき)と聞いてもピンとこないかも知れませんが、かの項羽を討ち取った5人の武将の一人といえば分かるでしょう。楊喜が項羽を追いかけて、最後に項羽の体の一部を手に入れたことは、「史記本紀」の項羽本紀に書かれています。

 ところで、司馬遷の史記が面白いのは単に事実を淡々と書いているのではなく、時には情景が浮かぶような筆ののりに人気があるのだと思います。楊喜が項羽を追いかけたときも、項羽に叱された楊喜は馬もろとも驚いて数里も後しざりしたと書かれています。さすがに実際には数里(1里400m)も後しざりはできないでしょうから、ちょっと筆が乗りすぎた感じがします。もし、その後楊喜が出てこなければある得る話だったかもしれませんが、結局追いついて項羽の体の一部を持っていったのですから、実際にはちょっと驚いて止まった程度なのでしょう。

 本書では、楊端和の甥っ子として楊喜が登場します。息子を二人とも失った楊端和は楊喜に剣技を伝授し、さらに李信の息子の李必に楊喜が武功を立てられるように頼みます。李必は得意の弓術でもって項羽をけん制し、楊喜が項羽を撃つのを助けます。楊端和はその助力に対して礼を言うのですが・・・。詳しい顛末は本書をご覧ください。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

浅水伸彦

Author:浅水伸彦
李信の小説を読みたいのになかなか出てこないので、自分で書いてしまいました。

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