2014-05-04

初回配本が売れても、自動的には補充されない

 Webで検索すると、無名の人が自費出版本を1000冊売るのは至難だと出てきます。
 それは最初から覚悟はしていたのですが、その理由の一つが「取次店から配本された本が売れても、一部の書店さんしか補充してくれない」という状況を知って驚きました。
 どうやら書店の店員さんが認知してくれている本(通常は有名作家とか売れ筋の本、表紙や題名にインパクトのある本)でないと補充が無いようです。一部補充してくれている本屋さんでは、すでに2回目の補充も売り切ったところもあるので、補充さえしてくれればもっと売れると思うのですが・・・。

参考にWebで在庫確認できる本屋さんの内、下記本屋さんの売り上げ冊数を集計しました。
<敬称略>丸善、紀伊國屋、有隣堂、今井書店、大垣書店、勝木書店、喜久屋書店、旭屋書店、楽天、アマゾン
販売状況1-16週
・1月15日から4月29日までの1週間単位の集計結果です。ただし、第1週目は紀伊國屋さんは入ってません。
・在庫が減ったら売れたと判断しています(返本の可能性も含んでいますが)。ただし正確な在庫数を公開しているのは旭屋書店さんだけなので、在庫冊数は下記のように判断しています。
 有表示:1冊、〇:3冊、△:1冊(ただし〇から△になった場合は2冊)
 なお、現地確認や出版社の営業さんの情報で確認できた場合はその冊数を用いています。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-05-06

小説を書くきっかけ

 私は日本語よりもC言語やアセンブラ言語の方が得意なバリバリのエンジニアなのです。今まで小説家を目指したことは一度も無く、まさか自費までかけて小説を出版しようとは自分でも思っても見ませんでした。

 きっかけは1年ちょっと前(2013年2月ごろ)のことです。客先向け提案書の文面がなかなかまとまらず、ついに終電を逃して駅前のマンガ喫茶で一夜を明かす羽目になりました。最初はそのまま寝ようかと思っていたのですが、なんとなく寝付けず、ふと中国の歴史物でも読もうかという気になりました。

 別に中国歴史物オタクというほどではありませんが、マンガの三国志(横山輝光)は全巻持っているし、小説は、三国志(吉川英治)、項羽と劉邦(司馬遼太郎)、十八史略(陳舜臣)、漢籍(中国人が漢文で書いた書物)の翻訳本は、水滸伝、西遊記、史記、左伝とまあまあ読んでるし、わりと中国物が好きなんですよ。んで、物色していたらキングダムというマンガが面陳(表紙が見える状態で棚置)してあって、これでいいかと読み始めたら結局夜を明かしてしまいました。主人公は後に将軍になる李信で、後に始皇帝になる秦王にため口をきく関係となって物語が展開していきます。結構面白かったです。

 ただ十八史略を読んで持っていた始皇帝のイメージとはずいぶんかけ離れている内容だったし、李信も代々弓術を持って仕えた子孫を残しているわりには全然弓を使わないので何となく不満が残り、その時代の小説を探して読みはじめました。「始皇帝」「白起」さらには改めて史記の該当年代を読んでいるうちに、不思議と無性に「李信」が読みたくなったのです。でも残念ながら李信の小説本は売られていませんでした。

 それでも「李信」が読みたい、「李信」が読みたいと思っているうちに、李信はきっとこんな生涯を送ったんじゃないか、というようなアイデアがふつふつ沸き始めて、ついに3月の下旬ごろから物語を書き始めました。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-05-08

書き始めるにあたって

 さて、小説を書き始めるにあたって、書く以上は出版までしようと考えました。そうしないと、途中で挫折というか、別にもういいやって完成しないままで終わる気がしたのです。もしかしたら印税で暮らせるようになるかもっていう欲があれば最後までモチベーションが保てるのではないかと思ったのです。まぁ、宝くじで3億円当たるかもって思うのと同じかも知れませんが。

 ともかく、自費出版会社をWebで調べて、次の条件で費用の算出をしようとしました。
 ・文庫サイズ
 ・450~600ページ(このときは李信の生涯を70年と仮定x6~8ページ+巻末の人名・地名付録)

 しかし各社条件がまちまちだったので(売れたら何%もらえるとか、増刷費用とか)、どこの会社とは決められませんでした。ただ、V2ソリューション(お手軽出版ドットコム)さんの費用はリーズナブルに感じました。

 このときV2さんのサイトで本のサイズ別のワード・テンプレートを見つけ、このテンプレートでサイズ別のページ数を算出して見積もりしてみました。その結果、新書版が一番ページ数が少なく仕上がり、かつ新書版と文庫版ではページ単価が同じだったので、新書版のテンプレートを使わせていただくことにしました。本のサイズがさらに大きくなればページ数がさらに減ると思っていたのですが、テンプレートでは本のサイズに比例して文字サイズも大きくしていたためページ数は逆に微増でした。

 実はテンプレートの文字サイズはあくまで一例だったのですが、このときはV2さんへ頼むと決めたわけではなかったので問い合わせず、何となく文字を大きくすることが決まりだと思い込んでいました。後日原稿が出来上がってから確認すると、新書版で600ページは多いからサイズアップしたらと言われ、そのときになって文字サイズをテンプレート通りにしなくても良いということが判りました。文字サイズだけでなく、段組も自由。

 結局最後に印刷費を下げるために、本のサイズをB6とし2段組にしました。サイズと段組の変更はワードで一括変更できるからほとんど問題なかったのですが(各章のタイトルのみ1段組にする手間はかかりましたが)、「見開き単位で、最初に出てくる人名・地名にのみルビを打つ」というルールを決めて書いていたため、るび打ちは全面変更となりました。あぁ~、最初にちゃんと聞いておけばよかった・・・(号泣)。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-05-09

書き始めてみたものの

 話は飛びましたが、ともかくいくつかのアイデアを元に小説を書き始めました。アイデアといっても所詮は断片的な思い付きなので、それを並べただけでは当然ながら不整合があちこちで出てきます。

 構想何年とかいうあおりのついた本や映画をよく見かけますが、やはりきちんと構想を練ったり、時代考証資料を集めたりしないと、書き始めてからあっちを修正、こっちを修正という羽目になってしまいます。一応、エクセルで登場人物と年号の表を作って、史記から各自の事跡をメモしていたのですが、史記も必ずしも正確な年号が書かれているわけではなく、前後の状況から推定せざるを得ない所もありました。一人二人ならともかく、約140人もの人物の事跡や年齢関係に整合を取るのはさすがに苦労しました。

 苦労して原稿を完成させても、後から後から間違いや矛盾が見つかります。たとえば「数え年」です。うっかり満年齢で書いていたのですが、昔の人は数え年を使っていたということを最後にやっと思い出して大幅書き換えです。まぁ大部分は単純に年齢を+1するとか、想定出生年を1年ずらすとかで済んだのですが、還暦という言葉を”数えで六十”のところで使うことになってしまい、「今年還暦を」を「来年には還暦を」に直したところもあります。

 もうひとつ苦労したのは地名です。専門家ならいざ知らず、私のような素人が「現住所を併記する」なんて怖いもの知らずもいいとこでした。同名異地はざらにあるし(平陽とか新城とか)、河川の氾濫や戦禍で場所が移動したとか、皆目見当のつかない場所とかも少なくないです。
 黄河の流れる位置も当時は違っていて、場所によっては今は河の北岸でも当時は南岸だったりします。うっかり河を渡ってと書いて、「あれ? 当時の位置だったら渡らないじゃん」と最後に慌てて修正したところもあります。

 多少の間違いは開き直ろうかと思いましたが、Web情報だけでは”多少”で済ませられなかったので、大枚はたいて地名辞典とか昔の地図帳とかを買いました。以下はその出費です。
 ・精選 中国地名辞典(塩英哲編訳) ¥12,599
 ・増補 中国地名辞典(星あやお著) ¥8,489
 ・中国歴史地図(朴漢済編著)    ¥3,800(税別)
 ・中国五千年史地図年表(集英社)  ¥2,500(税別)
 ・新版ベーシックアトラス中国地図帳 ¥1,500(税別)

 その他、手持ちの史記では「表」が省略されていたため、そこだけ専門書を買い足しました。
 ・史記 (十表 二)(寺田日出男著)¥7,900

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-05-12

校正とカバー

 原稿提出後の校正というと、私のイメージではせいぜい2~3回、多くて5回くらいと思っていたのですが、なんと12回に及んでしまいました。V2ソリューション(お手軽出版ドットコム)さんの場合PDF校正なら何回でも無料ですが、さすがに多かったでしょうかね? 他の皆さんは何回ぐらいでしょうかね?

 もともと校正をお願いしたほうが良いんだけどなぁとは思っていたのですが、簡易校正でも百ページあたり三万円程度かかり、予算オーバーでした。でも12回も校正したのに、出来上がった本を一読しただけでミスを1箇所見つけてしまいました(「?」の後ろに「。」を付けている箇所がありました)。次からは(次があればですが)簡易校正を頼もうかと考えています。

 ちなみに原稿提出後に判った事ですが、総ページ数(奥付含む)は8の倍数にしなければならないようです。空白のページを入れても良いのですが、私の場合は巻末に人名・地名の一覧を付けているので、地名の説明を加えたり削ったりで8の倍数になるように調整しました。

 さて校正の最終段階でカバーのPDFも上がってきました。最初は既成デザインにするつもりで、カタログからデザインを指定しました。それが下記です。(注:本来は選外案の掲載はできないのですが、V2さんから特別に許可をいただきました)(白抜きの部分は著者名ですが、この時点で使っていたペンネームに差し障りがあったので消しています)
カバー案1

 私としては、これで良いかなと思ったのですが、V2の営業さんからインパクトが弱くて売りづらいのでデザインを起こした方が良いようなことを言われました。装丁デザイン費として3万円かかるので少し迷ったのですが、思い切ってデザインを頼みました。デザインのイメージについて何度か打ち合わせした後、下記4つの案をいただきました。(注:本来は選外案の掲載はできないのですが、V2さんから特別に許可をいただきました)(2番目のはこの時点のデータではなく、校了時のデータです)
カバー案2A

カバー校了

カバー案2C

カバー案2D

 一番目のは水墨画風で格調高い感じですが、薄くて目立たないんじゃないかなと思って2番目のにしました。今こうして並べてみると2番目のは題名が小さいなぁという感じがします。それと背景が赤で、題名が黒だと見えにくいですね。特にオンライン書店でカバーの絵を見ると結構見づらい感じがします。
 カバーデザインを選ぶときは、縮小した状態でも確認したほうが良いですね。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-05-14

李信の生涯は、史記の謎から浮かぶ

 最初「李信」の伝記を読みたいと思っていたわけですが、「史記」(中国の歴史書の第一)を読んでも事跡がわずか三つしか出てきません(史記・白起王翦(おうせん)列伝の中で脇役として語られている)。普通ならそれを読んで終わるところですが、その三つを元に謎解きを始めたところから深みにはまってしまいました。

 三つの事跡
前226年:始皇帝(この時点では秦王)を暗殺しようとした燕国の太子を捕らえた
    (ただし史記・始皇帝本紀の中では王賁(おうほん)が首を得たかのような記述があり、
     また史記・燕世家の中では燕王が斬ったかのような記述もある)
前225年:二十万の軍を率いて楚に進攻。途中までは順調だったが大敗して敗走した。
前222~221年:王賁(おうほん)が李信とともに燕・斉を破った。

 さて、李信の属した秦国は法律が厳しく、戦場に三日遅れて着けば打ち首が免れないほどです。大敗したら斬首は免れないと思われるし、仮に後の漢帝国のときのように大金を積んで死を免れても庶人に落ちて復帰は見込めないところです。
 しかし三年後には何事も無かったかのように燕・斉の攻撃に参加しています。王賁と並んで書かれているところを見ると、将軍クラスでの参加と考えられます。これは、よほど秦王の覚えめでたい人物でなければかなわないことでしょう。史記には家柄の記述が無く、燕国の太子を捕らえた以外の功も無い人物が何ゆえ覚えめでたかったのか、ここから李信の生涯の想像が始まりました。

 家柄も功も無いながら二十万の軍を授けられ、大敗の責任も厳罰でなかったとなると、武系の側近として信任されていたと考えるしかありません。しかし、側近として仕えたという記述も見当たらないので、もしかしたら表立って仕えたのでは無く「裏方」として仕えていたのではないかと考えました。
 一方、仕える相手の秦王(嬴政(えいせい))にも色々と謎があります。正当な血筋では無い(呂不韋(りょふい)の胤)と思わせる記述がありながら、誰も文句を言って無い(言えなかった)のは何故か、実は裏で暗闘があったのではないかと・・・。
 この二つをあわせて、実は李信は嬴政の即位前から裏方としてに仕えて信任され、一緒に暗闘を乗り切ったのでは無いかと想像しました。ここまでくると妄想に近いのかもしれませんが、そういう設定にすると次から次にストーリーが沸いてきました。

 暗闘を乗り切るにはそれなりの武芸も必要ですが、幸い史記・李将軍列伝には李家は代々射術を伝えていたとの記述があるので、やはり弓が得意だったのであろうと推察できます。しかし誰に習ったのかと考えたところで、弓が得意といえば匈奴であろうと思い浮かび、父親は元匈奴の将という設定にしました(この設定を李信の臨終においても生かすことができて大満足)。
 一方、嬴政の父親が人質として捕らえられていた趙国の邯鄲を脱出するときにも色々疑問が沸きました。秦国へ帰るメインルート(黄河沿い)は前線があって緊迫しているだろうから北へ大きく避けたのではないか考えました。そのルート上で李信の父親に脱出を助けられたとすれば、それをつてに李信が嬴政に仕えてもおかしくは無いなと想像が広がりました。

 結局、史記の色々な疑問点から想像が沸き、想像が更なる疑問と答え(想像)を呼び起こして連鎖が続き、結果としてストーリーが完成したのです。
 李信以外の人物間の確執とその顛末についても多く書きましたが、史記の謎はかくも想像を生み出す源泉であるという例として見てもらえれば幸いです。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-05-18

本書が読める図書館

 「カーリル」で李信伝異聞が読める図書館を調べてみました。
・福島県郡山市希望ヶ丘図書館
・東京都江東区立東大島図書館
・新潟県新潟市立石山図書館
・大阪府茨木市立中央図書館
・兵庫県神戸市立兵庫図書館
・兵庫県芦屋市立公民館図書室
・岡山県真庭市美甘保健文化センター図書室
・愛媛県西予市民図書館中央館→西予市民図書館野村分館
・高知県香美市立図書館香北分館(6/7追記)
・長崎県長崎市三和公民館図書室(2016/10/23追記)

 6000以上の図書館の中の8館(5月中旬時点)ですから、まだまだ極僅かですね。
 図書館の予算も限られているので、リクエストがあったとしてもやはり有名小説家の本が優先でしょうね。
 逆に、どうして上記8館では置いてもらえたのか、不思議な気がしないでもないです。

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

2014-05-24

呂后と九泉幻女

 私は物語を考えるときに、起こるべくして起こったという必然性に気をつけていて、ある出来事の原因・遠因まで考えるようにしています。たとえば呂后(劉邦の正妻)は、後年(本書の李信の死後)に残忍な振る舞いをして中国三大悪女にも数えられるようになりますが、そのような性格はどのように形成されたのか。また史記・高祖本紀には、劉邦がどこに身を隠しても「上のほうに運気がある(見える)」といって探し出すことができたのですが、そのような特技はどのようにして身についたのか。

 最初からそのような必然性を考えてストーリーを練る場合もありますが、呂后(呂雉(りょち))の性格は母親譲り、運気を見る能力は父親譲り、という設定は偶然そうなったのです。
 最初、蒙驁(もうごう)将軍が荘襄王(そうじょうおう)(始皇帝の先代の王)の遺勅を受けて嬴政(えいせい)(後の始皇帝)を倒そうとし、それを李信が防ぐというストーリーを考えていたときのことです。あっさりと阻止に成功してはつまらないと思って李信を始末しようとする妖女を登場させました。そして、結局その妖女が呂后の母親になったというストーリーが生まれました。

 この時、「妖女」という言葉からすぐに「九泉幻女」がひらめいたのです。水滸伝を読んだ人ならすぐにピンとくるでしょうが、九泉幻女は水滸伝に出てくる九天玄女をもじったものです。実は私が漢籍(の訳本)を読むきっかけとなったのが、中学生のころ日テレで放送していた水滸伝のドラマだったのです。当時読んだのは集英社版「世界文学全集」に収められていた佐藤一郎訳の七十回本で、社会人になってから講談社文庫 駒田信二訳の百二十回本を読みました。ともかく思い出深い水滸伝にちなんだ人物を登場させることができて、満足、満足。

続きを読む

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

浅水伸彦

Author:浅水伸彦
李信の小説を読みたいのになかなか出てこないので、自分で書いてしまいました。

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR