2014-05-06

小説を書くきっかけ

 私は日本語よりもC言語やアセンブラ言語の方が得意なバリバリのエンジニアなのです。今まで小説家を目指したことは一度も無く、まさか自費までかけて小説を出版しようとは自分でも思っても見ませんでした。

 きっかけは1年ちょっと前(2013年2月ごろ)のことです。客先向け提案書の文面がなかなかまとまらず、ついに終電を逃して駅前のマンガ喫茶で一夜を明かす羽目になりました。最初はそのまま寝ようかと思っていたのですが、なんとなく寝付けず、ふと中国の歴史物でも読もうかという気になりました。

 別に中国歴史物オタクというほどではありませんが、マンガの三国志(横山輝光)は全巻持っているし、小説は、三国志(吉川英治)、項羽と劉邦(司馬遼太郎)、十八史略(陳舜臣)、漢籍(中国人が漢文で書いた書物)の翻訳本は、水滸伝、西遊記、史記、左伝とまあまあ読んでるし、わりと中国物が好きなんですよ。んで、物色していたらキングダムというマンガが面陳(表紙が見える状態で棚置)してあって、これでいいかと読み始めたら結局夜を明かしてしまいました。主人公は後に将軍になる李信で、後に始皇帝になる秦王にため口をきく関係となって物語が展開していきます。結構面白かったです。

 ただ十八史略を読んで持っていた始皇帝のイメージとはずいぶんかけ離れている内容だったし、李信も代々弓術を持って仕えた子孫を残しているわりには全然弓を使わないので何となく不満が残り、その時代の小説を探して読みはじめました。「始皇帝」「白起」さらには改めて史記の該当年代を読んでいるうちに、不思議と無性に「李信」が読みたくなったのです。でも残念ながら李信の小説本は売られていませんでした。

 それでも「李信」が読みたい、「李信」が読みたいと思っているうちに、李信はきっとこんな生涯を送ったんじゃないか、というようなアイデアがふつふつ沸き始めて、ついに3月の下旬ごろから物語を書き始めました。

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ジャンル : 本・雑誌

2014-05-08

書き始めるにあたって

 さて、小説を書き始めるにあたって、書く以上は出版までしようと考えました。そうしないと、途中で挫折というか、別にもういいやって完成しないままで終わる気がしたのです。もしかしたら印税で暮らせるようになるかもっていう欲があれば最後までモチベーションが保てるのではないかと思ったのです。まぁ、宝くじで3億円当たるかもって思うのと同じかも知れませんが。

 ともかく、自費出版会社をWebで調べて、次の条件で費用の算出をしようとしました。
 ・文庫サイズ
 ・450~600ページ(このときは李信の生涯を70年と仮定x6~8ページ+巻末の人名・地名付録)

 しかし各社条件がまちまちだったので(売れたら何%もらえるとか、増刷費用とか)、どこの会社とは決められませんでした。ただ、V2ソリューション(お手軽出版ドットコム)さんの費用はリーズナブルに感じました。

 このときV2さんのサイトで本のサイズ別のワード・テンプレートを見つけ、このテンプレートでサイズ別のページ数を算出して見積もりしてみました。その結果、新書版が一番ページ数が少なく仕上がり、かつ新書版と文庫版ではページ単価が同じだったので、新書版のテンプレートを使わせていただくことにしました。本のサイズがさらに大きくなればページ数がさらに減ると思っていたのですが、テンプレートでは本のサイズに比例して文字サイズも大きくしていたためページ数は逆に微増でした。

 実はテンプレートの文字サイズはあくまで一例だったのですが、このときはV2さんへ頼むと決めたわけではなかったので問い合わせず、何となく文字を大きくすることが決まりだと思い込んでいました。後日原稿が出来上がってから確認すると、新書版で600ページは多いからサイズアップしたらと言われ、そのときになって文字サイズをテンプレート通りにしなくても良いということが判りました。文字サイズだけでなく、段組も自由。

 結局最後に印刷費を下げるために、本のサイズをB6とし2段組にしました。サイズと段組の変更はワードで一括変更できるからほとんど問題なかったのですが(各章のタイトルのみ1段組にする手間はかかりましたが)、「見開き単位で、最初に出てくる人名・地名にのみルビを打つ」というルールを決めて書いていたため、るび打ちは全面変更となりました。あぁ~、最初にちゃんと聞いておけばよかった・・・(号泣)。

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2014-05-09

書き始めてみたものの

 話は飛びましたが、ともかくいくつかのアイデアを元に小説を書き始めました。アイデアといっても所詮は断片的な思い付きなので、それを並べただけでは当然ながら不整合があちこちで出てきます。

 構想何年とかいうあおりのついた本や映画をよく見かけますが、やはりきちんと構想を練ったり、時代考証資料を集めたりしないと、書き始めてからあっちを修正、こっちを修正という羽目になってしまいます。一応、エクセルで登場人物と年号の表を作って、史記から各自の事跡をメモしていたのですが、史記も必ずしも正確な年号が書かれているわけではなく、前後の状況から推定せざるを得ない所もありました。一人二人ならともかく、約140人もの人物の事跡や年齢関係に整合を取るのはさすがに苦労しました。

 苦労して原稿を完成させても、後から後から間違いや矛盾が見つかります。たとえば「数え年」です。うっかり満年齢で書いていたのですが、昔の人は数え年を使っていたということを最後にやっと思い出して大幅書き換えです。まぁ大部分は単純に年齢を+1するとか、想定出生年を1年ずらすとかで済んだのですが、還暦という言葉を”数えで六十”のところで使うことになってしまい、「今年還暦を」を「来年には還暦を」に直したところもあります。

 もうひとつ苦労したのは地名です。専門家ならいざ知らず、私のような素人が「現住所を併記する」なんて怖いもの知らずもいいとこでした。同名異地はざらにあるし(平陽とか新城とか)、河川の氾濫や戦禍で場所が移動したとか、皆目見当のつかない場所とかも少なくないです。
 黄河の流れる位置も当時は違っていて、場所によっては今は河の北岸でも当時は南岸だったりします。うっかり河を渡ってと書いて、「あれ? 当時の位置だったら渡らないじゃん」と最後に慌てて修正したところもあります。

 多少の間違いは開き直ろうかと思いましたが、Web情報だけでは”多少”で済ませられなかったので、大枚はたいて地名辞典とか昔の地図帳とかを買いました。以下はその出費です。
 ・精選 中国地名辞典(塩英哲編訳) ¥12,599
 ・増補 中国地名辞典(星あやお著) ¥8,489
 ・中国歴史地図(朴漢済編著)    ¥3,800(税別)
 ・中国五千年史地図年表(集英社)  ¥2,500(税別)
 ・新版ベーシックアトラス中国地図帳 ¥1,500(税別)

 その他、手持ちの史記では「表」が省略されていたため、そこだけ専門書を買い足しました。
 ・史記 (十表 二)(寺田日出男著)¥7,900

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2014-05-12

校正とカバー

 原稿提出後の校正というと、私のイメージではせいぜい2~3回、多くて5回くらいと思っていたのですが、なんと12回に及んでしまいました。V2ソリューション(お手軽出版ドットコム)さんの場合PDF校正なら何回でも無料ですが、さすがに多かったでしょうかね? 他の皆さんは何回ぐらいでしょうかね?

 もともと校正をお願いしたほうが良いんだけどなぁとは思っていたのですが、簡易校正でも百ページあたり三万円程度かかり、予算オーバーでした。でも12回も校正したのに、出来上がった本を一読しただけでミスを1箇所見つけてしまいました(「?」の後ろに「。」を付けている箇所がありました)。次からは(次があればですが)簡易校正を頼もうかと考えています。

 ちなみに原稿提出後に判った事ですが、総ページ数(奥付含む)は8の倍数にしなければならないようです。空白のページを入れても良いのですが、私の場合は巻末に人名・地名の一覧を付けているので、地名の説明を加えたり削ったりで8の倍数になるように調整しました。

 さて校正の最終段階でカバーのPDFも上がってきました。最初は既成デザインにするつもりで、カタログからデザインを指定しました。それが下記です。(注:本来は選外案の掲載はできないのですが、V2さんから特別に許可をいただきました)(白抜きの部分は著者名ですが、この時点で使っていたペンネームに差し障りがあったので消しています)
カバー案1

 私としては、これで良いかなと思ったのですが、V2の営業さんからインパクトが弱くて売りづらいのでデザインを起こした方が良いようなことを言われました。装丁デザイン費として3万円かかるので少し迷ったのですが、思い切ってデザインを頼みました。デザインのイメージについて何度か打ち合わせした後、下記4つの案をいただきました。(注:本来は選外案の掲載はできないのですが、V2さんから特別に許可をいただきました)(2番目のはこの時点のデータではなく、校了時のデータです)
カバー案2A

カバー校了

カバー案2C

カバー案2D

 一番目のは水墨画風で格調高い感じですが、薄くて目立たないんじゃないかなと思って2番目のにしました。今こうして並べてみると2番目のは題名が小さいなぁという感じがします。それと背景が赤で、題名が黒だと見えにくいですね。特にオンライン書店でカバーの絵を見ると結構見づらい感じがします。
 カバーデザインを選ぶときは、縮小した状態でも確認したほうが良いですね。

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2014-06-22

1冊117円の赤字

 校了したらいよいよ印刷です。以下のように進みました。
■校了前に最終見積もり金額の連絡がV2ソリューションさんからメールであり(11月29日)、
■最終PDFデータの確認をして、印刷okの返事をすると(12月3日)、印刷作業に入ったと連絡ありました。
■契約書類や振込み用紙が送られてきて、印刷上がり前までに振り込みしました。
■12月25日に印刷が終わって、こちらから指定していた著者納品分20冊を発送したとの連絡があり、
 「2~3週間ほどでオンライン書店を含む書店のデータベースに反映され、注文が可能な状態になる」
 「その後1週間ほどで一般書店に委託配本される予定」
 とのことでした。

 つまり印刷が終わって書店に並ぶまでに1ヶ月ほどかかるということでしたが、実際には1月8日ごろからネットに予約可能な書店が出始め、1月中旬から書店に並んでいます。

 さて、印刷部数については話が前後しますが、ISBN(国際標準図書番号)取得時に申請しなければならないらしく、印刷部数は校了よりも前の段階で決め手おかねばならないのです。
 部数については、ずんぶん悩みました。悩む要素としては、
①売価と一冊あたり原価(自分で決められる)
②売れ残りのリスク。特に1年後に自宅へ在庫が大量に戻ってくる可能性がある(実売部数で決まる)。
③何冊配本されるか事前に確定しない(取次店の意向で決まる)
と3つありあります。

 ①の売価については、自分の感覚として1500円超えたら買わないだろうなというこだわりがあり、本体価格1400円は最初に決めてしまいました。一冊あたり原価は印刷部数で決まります。部数が増えても印刷費はそれほど増えないので、部数が多いほど原価を下げられます。下表に部数の違いによる原価構成を示します(注:流通マージンは売れたら発生するので事前支払いはありません)。

原価構成

 最初は利益が出ることを考えて3000部で見積もったのですが、最終的には半分に減らしたので、1冊117円の赤字です。もちろん印刷部数が全部売れた場合の話です。
 流通マージンはV2ソリューションさんの場合は、本体価格の50%と決まっていますので700円固定です。ネットの情報から推定すると、
 ・発行所:V2さん(取次ぎ店の口座なし) 10%
 ・発売元:星雲社さん(取次ぎ店の口座あり) 10%
 ・取次ぎ店 10%
 ・書店 20%
ぐらいで、妥当なところと思います。
 しかし委託手数料(委託配本手数料とV2さん営業費用)というのは不詳です。営業費用はその中の20%を占め、、実際に書店回りをしたりポップを作成するということなので分かりますが、残りは誰が何の作業をしてるのか聞けていません。返本された本のカバーが傷んでいたら交換するようなことも言っていたような?

 ②の売れ残りリスクで大きいのは、1年後に200冊以上の売れ残り在庫があったら著者に引取りを要求できるという契約条項です。印刷費は事前に払ってあるので、問題としては自宅に置けるかどうかということです。ネットで見る限り、無名の新人が1000冊売るのも厳しいということなので、3000部印刷したら、2000部以上が戻ってくる確率が高いということです。さすがにそんなに保管できないし、捨てるのは悲しいし。

 ③の配本(書店からの注文が無くても取次ぎ店が書店へ送る)が何冊になるか分からないというのも悩みどころです。たとえ売れなくても書店で多くの人に見てもらえるなら自分としては良いのですが、最近は配本を絞る傾向にあるようです。そのあたりを聞いたところ、過去3000部印刷で2000部配本されたものがあるのを記憶している、最近だと2000部印刷で1000部配本、特に小説だと1000部以下の場合がほとんどということらしいです。

 あれこれ勘案したのですが、結局自宅に1000部は置けるだろう、というところで1500部としました(最低500部は売れると期待して^^;)

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プロフィール

浅水伸彦

Author:浅水伸彦
李信の小説を読みたいのになかなか出てこないので、自分で書いてしまいました。

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